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暇人の暇人による暇人の為のブログ。 小説を書くとか書かないとか。
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はっはー
やっと書きあげたよー><
どの道俺には一話でこの量が関の山かそうか
今度は短編書きたいなぁ 全然書いてないもんなぁ

とりあえず今は テ ス ト だ

タイトルは「接触」




「おぉぉぉぁぁぁぁぁぁ!」

 牢屋が続く暗い道を、疾走する。
 簡潔に言うとピカチュウはピンチだった。




 ひやりと冷たい感触のドアノブに手をかけ、自室のドアを開ける。
 窓に遮光カーテンが引いてある為、部屋は日中と言うのに薄暗い。

 少し汚れた上着をハンガーにかけ、椅子に座ると酷く疲れた溜め息が漏れた。
 首を左右に揺らすと、小気味の良い音が鳴る。

 彼は一息吐くと、腰に着けていた紅白の三つのボールを机に置く。
 中に居る彼のパートナーは長期の任務に疲れて眠っているようだった。

 ティッシュを手に取り、腰にあるもう一つ空のボールを取り出す。
 傷も汚れも無いそのボールをティッシュで優しく拭いていく。

 彼の四匹目は未だ、見つかっていない。




「プリム、何でこんな事になってるんだよぉ!」

「罠のスイッチ解除すんの忘れてた」

 ピカチュウ、プリム、メタナイトは暗く長い道を走っていく。
 十メートル背後には通路ギリギリの大きさの鉄球が迫っていた。

 鉄球は壁際の蝋燭を呑み込み通路の形を変えつつ三人を追いかけていた。
 この時の三人は知る由も無いが、牢屋の通路は地味な勾配があり、鉄球がしっかり転がるようになっている。

 かれこれ二十分は走っているだろう。
 そんな折り、一番夜目が効くピカチュウが前方に何かを発見した。

「わ、分かれ道だ!」

「本当か!」

「三ツ又に分かれてるよ!」

 三ツ又。つまり、このまま進めば鉄球は真ん中を突き進む事になる。
 絶対に避けたい。それだけは絶対に避けたいメタナイトとプリム。

「よし、私は右の道を行こう!」

「じゃあ俺は左だ! 変態は真ん中に行け!」

「変態って呼び方やめろよチクショウ!」

 しかしごたごた言っても何も変わりはしない。

 まもなく見えてきた三ツ又の分かれ道。
 宣告通り、メタナイトとプリムは横に逸れ、ピカチュウはそのまま直進した。

 不幸、と言うか当然の結果だが鉄球はピカチュウの後ろをぴたりとついて追ってくる。

 そこでピカチュウはふと疑問に思う。

 どう考えてもハメられた、ような気がする。

「ッ!」

 咄嗟に受け身も考えず前方へ飛び込んだ。
 後ろから鉄球が迫っている為、立ち止まりはしないがちらりと後ろを見る。
先程ピカチュウが居た所には矢が突き刺さっていた。

「な……あァッ!」

 後ろを見て走っていた為、前方の穴に落ちてしまう。
 顔面を床に直撃させ、そのままずるずると坂道を滑っていく。

 そこで困るのが後ろの鉄球だ。
 坂道を転がり鉄球はそのスピードを増している。

 このまま滑れば確実に押し潰される。
 ピカチュウは半ばトビウオのごとく、跳ねるように坂道を下っていった。

「わぁ!」

 受け身も何も考えず跳ねていたのだ。
 坂道の終点で顔を再び床に強打した。

 鼻の奥から何か熱い物を感じたが立ち止まってる暇は無い。
 現に後ろからは加速を続ける鉄球が迫っていた。

 乳酸の溜まった足を奮いたて、走り出す。
 全速力をキープしつつ、ピカチュウは通路の考察を始める。

 まず、通路は先ほどと同様真っ直ぐであった。思わず舌打ちをする。
 明かりは壁のランプがたくさん付いているので問題は無い。
 しっかりと向こうの方まで障害物も無ければ、分かれ道も無い。

 最悪だ。

 ぐぎゃあ、と叫びながらピカチュウは鉄球との距離を稼ぐため通路を疾駆する。
 道のど真ん中にはバケツが置いてあり、ピカチュウは避けるのも面倒臭くなり蹴飛ばした。

 凄まじい違和感。

 何故、道にバケツが?

「っ? ぶっ」

 足が突然動かなくなった。
 だが体が前に行く力は依然ある。
 ピカチュウは綺麗に床に倒れた。

 ついに鼻から血が出てきた。
 鼻を押さえつつ、ピカチュウは動かなくなった足を見る。

 見ればバケツに入っていた液体を自分の足が踏んでいる。
 どうやら液体は粘着性が高いようで見事に引っ付いたらしい。

 まずい事になった。
 しかし更にまずいのは。

「う、うわああああ!」

 猛スピードで迫り来る鉄球。
 襲いかかるであろう苦痛を想像しピカチュウは絶叫した。

「ああああ!」

 固く目を瞑り、もうすぐ来るであろう衝撃に身を強ばらせる。

「あああ! あああぁぁ……」

 意外に鉄球が来るのが遅い。
 そのせいで自分の叫び声を聞いて馬鹿みたいな声だと考える余裕まで出来てしまった。

「あー、あ?」

 おかしい。

 鉄球が来ない。
 ピカチュウがゆっくり目を開けると、眼前には停止した鉄球があった。

 びくん、と体をのけ反らせる。
 待てど暮らせど、鉄球は動かない。

 良かった。
 ピカチュウはほっと胸を撫で下ろす。

「あっはは、面白ーい」

 と、鈴を転がしたような声が辺りに響いた。
 聞き慣れない声にピカチュウは周囲を見渡す。
 確か、スマッシュブラザーズにこんな声の人物は居なかった、と思う。

 クレイジー側の人物なのだろうか?

「誰?」

 すっとんきょうな声でそう聞いた。
 謎の声は変わらず甘美な声で答える。

「だぁれでしょう?」

 多分、女性のものであろうその声は、妙に艶やかでどこか頭の角が痺れるような感覚がある。
 ピカチュウはそれに細心の注意を払いつつ、足を戒める既に固まった液体を剥がそうとした。
 そんなピカチュウを引き留めるかのごとく、声はまた響く。

「ねぇねぇ、貴方の名前、聞いても良い?」

 答えは一瞬の間の後、続いた。

「ピカチュウ、だよ」

 不満そうな溜め息が漏れた。

 変化は突然。
 目の前の鉄球がぐにゃりと粘質な音をだして溶け始めた。
 悲鳴をあげる事すらままならず、ピカチュウは息を呑んでその光景を見つめる事しか出来なかった。

 鉄球の天辺から溶けた液体は球の表面をじれったく流れて床に落ちる。
 ピカチュウはそれを目で追っていたが、おかしな事に気づく。

 溶けた液体と床が交わっていた。

 それはまるで水に垂らした油のようで、液体は床を這いつくばっていた。
 異様を通り越した異様にピカチュウはもはや思考が追いつかない。

「そのぐらいで驚かないでよね」

 視線だけ下に向けていたつもりがいつの間にか顔も向けていたらしい。
 頭上に投げかけられた声に顔をあげた。

「…………」

「……何よ、その顔」

「……誰?」

 少女がそこにいた。

 緑を基調と民族風の服を着ていた。
薄い黄緑の髪が肩までかかっており、距離が近いせいか彼女からはほんのりと甘い匂いが漂ってくる。

 そしてピカチュウが一つ気になったのは彼女の足元だ。
 先程の鉄球が溶けた物が彼女の足元に大量にある。

 更に奇妙な現象は続いた。
 その鉄球だった液体は吸い上げられるように渦を巻き、彼女を包み込む。

 凄まじい勢いの渦が取り囲んでいるにも関わらず、彼女は身じろぎ一つしない。
 その無機物じみた姿がピカチュウにはひどく恐ろしく見えた。

 おもむろに、彼女が右手を前に出した。
 すると、渦を巻いていた液体はまるで生きているかのごとくのたうち回り、その小さな手へと吸い込まれていった。

 状況に頭の整理が追い付いていないピカチュウに少女は少し自慢気に言った。

「ふっふん。スゴいでしょ。私は災厄を封じしパンドラの四錠、モランよ」

「ぱ、パンドラ……?」

「あら、もしかして知ってるかしら。『災厄』を司る最悪の存在、パンドラ様の事」

「様って……人みたいに言うなぁ」

「……パンドラ様の事、詳しくは知らないみたいね」

 鼻で笑い、見下したような目で見るモランにピカチュウは睨みかえした。

 パンドラ、と言う言葉は以前エインシャント卿の所で見た事がある。
それを思い返すと同時にエインシャント卿とと険悪になった事を思い出す。
 ピカチュウはその苦い思い出にフタを閉じ、モランの言葉を反芻した。

 「パンドラ四錠」と言う言葉は非常にピカチュウの心に引っかかる。
 以前読んだ「パンドラの書」と絶対に関係がある。ピカチュウはそう確信できた。

「その目、私とやるつもりかしら」

 足は未だに動かない。
 恨めしさと共に、敵意を込めてピカチュウはモランをにらみ続けた。

 彼女の眼は水晶のように透き通っていた。
 そう。パッと見はとても綺麗な眼だった。
 しかしピカチュウには見えていた。

 モランの眼の奥には、明らかな負の念が渦巻いている。
 どす黒く、粘っこく、汚らしい、この世の
嫉妬、絶望、怨念、不信、呪怨、殺意、恐怖、憤怒疑心屈辱絶望後悔憎悪嫌悪、
おおよそ人が抱えれる感情の許容を超えたそれが小さな瞳の中に溜まっていた。

「パンドラ四錠……つまり君みたいなのが後三人……いるのかな。
 そして四人が集まれば、そのパンドラってヤツが復活するんじゃないの?」

「別に、否定はしないけど」

 刹那、背中の血管へ氷塊を詰め込まれた悪寒が全身を駆け巡る。
 足の皮膚が引き千切れそうになるのも構わず、ピカチュウは足を引き抜き後ろに飛びのいた。

 九死に一生を得た、と言うのはこういうことだろうか。
 ピカチュウが先程までいた所には巨大なギロチンの刃が轟音を携え振り下ろされていた。

 モランが小さく舌打ちをする。
 天井には続けざまに刃が精製され、ピカチュウに降り注ぐ。

「のわっ」

 一撃当たればそれが死に直結する。
 ピカチュウは死の物狂いでギロチンの雨をかいくぐった。

「すばしっこいなぁ……。
 さっさと死んだ方が楽だよぉ?」

 その言葉と共に刃と床が奏でる死のメロディが鳴りやんだ。
最後の刃が凄まじい音を立てて床に倒れた。
そのおぞましい質感にピカチュウは息をのむ。

 ピカチュウの口から洩れる、荒い息が彼の焦りと緊迫を如実に伝えていた。

 あまりにも無機質すぎる、床にばら撒かれた鋼鉄の刃。
 よくもまぁあの無数のギロチンを避けきったものだとピカチュウは身震いした。

 モランとピカチュウ、両者の距離は十メートル。

 この距離ならばピカチュウの電撃は確実に彼女を攻撃できる。
電撃の動きなど、常人に追いかけられるはずはない。
ピカチュウは予備動作も何も無く、無言で電撃を射出した。

 両の頬にある電気袋から十万ボルトに達する電気エネルギーが精製され、槍状にモランのもとへ伸びた。
 音は無い。瞬きすら許さない光速の一撃がモランへ炸裂した。

 眩い光が廊下全体を照らし出す。
 はじけるような炸裂音が響き、真っ白な煙が噴き出した。

 ピカチュウは思わず眼を覆う。
 煙の量が多すぎて一歩先も見えない状況だ。

 やったか。ピカチュウは思う。
手ごたえは確かにあった。
当たったからこそあの炸裂音が響いたのだ。

「んふ」

 心臓が面白い風に跳ねた。

「びみょー」

「――ッ」

「不意打ちの威力でも弱い……。
 せめてこの盾ぶち壊すくらいの気迫見せてくれても良いんじゃない?」

「……嘘だろ」

 ピカチュウの眼に飛び込んできたのは巨大な壁。
 恐らく電撃が当たったであろう場所はほんの少し溶解し、煙を出していた。

 更に驚愕すべきはギロチンが消えている点か。
 先程まで床に散乱していたギロチンは一つ残らず無くなっていた。
 電撃を発射した時はまだあった。
それが煙が噴出し、消え去るまでの僅かな間に消えてしまった。

 一体どういう事なのか。
もしかして鉄球と同じように溶けたのだろうか。
 それに彼女の前に立ちはだかる鉄壁。
 何にしろ不明瞭な点が多すぎる。迂闊に近づくのは危険だ。

「ビビっちゃって。このへたれ!」

「な……うるさいな、ほっとけよ!」

 平和的な会話ではあるが、モランが放つ異様な殺気は尋常ではない。
 当然、それを感じ取れない程、鈍感ではないピカチュウだがどうにもいちいち相手にしてしまう。

 モランは鼻を鳴らすと手を水平に横切った。
 一瞬身構えるピカチュウだったがそれは鉄壁を溶かす動作だったらしい。音もなく壁は崩れた。

 一瞬、気を緩めた。
 そのわずかな心の隙に、敵の殺意は入り込む。

 音も無く、崩れた液体は小さな槍となり凄まじい速度でピカチュウに襲いかかる。

「くっ、うわぁ!」

 身構えていたもののその速度に付いていけない。
 ピカチュウは反射で後ろに倒れる事でしか回避行動が取れなかった。

 体を槍がいくつか掠める。
 傷は浅いが大きい。鮮血が槍を追いかけるように飛び散った。

 遠くの方で飛んで行った槍が落ちる音がした。

 もうこれは一秒足りとも油断など出来ない。
 多分彼女はまだ本気ではないだろう。
 本気ならば今の一撃でピカチュウを殺す事は容易だったはずだ。

「くるくるー」

 現に彼女は陽気に鼻歌を歌い、片足で立って回っていた。
 本当に強い者が取れる余裕。
 歯軋りをしてピカチュウが次の行動に目を光らせる。

 ザクリ、と。

 背中に灼熱の痛みが広がった。
 
「が……アァっ!?」

「ほらほらもっと跳ねて」

 可愛らしい声を出し、モランは右足で床を小さく叩いた。

 前につんのめったピカチュウの顔面に床から現れた白銀に輝く鉄の塊が直撃した。

 声すら、出ない。
 若干の重心移動には成功したが勢いまでは殺せない。
 宙に振り上げられた体がおもちゃみたいにくるくる回った。

 飛びそうになる意識の中、背中を見れば槍が刺さっていた。
 ピカチュウを攻撃した槍は方向を百八十度回転させて戻ってきたのだ。
 幸いなのは槍が小さい為、致命傷ではない事か。

 受け身もままならずうつ伏せの状態で床に落ちた。

「つっまんないなぁ。暇潰しにもなんないよ」

 ぴくりとも動かないピカチュウにモランはゆっくりと近づいた。

「……鉄」

「ん?」

 気絶していたと思っていたのか、不意に聞こえたピカチュウの声にモランは驚いた様子だった。

 大方モランの能力には予想がついた。
 先程から彼女の攻撃は辺りの鉄を使いまわしている節がある。

「つまり君の能力は鉄を操るはずだ」

「……で、それがどうしたの?
 解った所でどうしようもないんじゃないの?」

「この廊下の先、鉄でできてないよね」

 ぴく、と若干彼女の唇が動いた。確定だ。
 彼女の能力は辺りに鉄が無いと使えない。
 だからこのような鉄の通路で戦っている。

「さっきの鉄の槍、一個は僕に攻撃してきたけど、他の槍はそのまま飛ばしたみたいだね。
 槍の落ちる音が鉄と鉄の音じゃ無かったよ」

 モランは何も言わない。

 だがピカチュウにとっても早く行動を移さなければならない。
 こんな状態で戦えば負けは確定。
 ここは逃げるしかない。『でんこうせっか』を駆使すれば逃げ切れるだろう。

 ゆっくりと立ち上がり、逃げる体制にはいる。
 まさか『でんこうせっか』中に攻撃されてお陀仏になる訳にもいかない。
 慎重にタイミングを窺う。

「うふ」

 不気味な笑い声が聞こえた。
 それは自然に出たと言うより、堪えようとして失敗した感じだ。

 モランは右手をピカチュウに差し出し、指を三つ立てた。

「三〇点」

 その意味をピカチュウが理解するよりも早く、モランの足元から巨大な龍が姿を現した。

「!?」

 龍の巨大な足がピカチュウめがけて振り下ろされた。




「マップは出たか」

「待て、後三パーセント……よし。打ち出せた」

 プリムの声にメタナイトは部屋の端にある機器に手を伸ばした。
 タイミングを合わせるように機械からA4サイズの紙が二枚出てくる。その紙には地図のようなものが書き込まれていた。

 二人はピカチュウを囮に鉄球から逃げた後、合流して城の中を探索していた。
 そして見つけたのがここ、情報室である。

 管理を任されていた雑魚を蹴散らし、手始めにプリムは城のマップを手にする事にした。
 メタナイトも機械類の操作は出来る方だが、ここは城に詳しいプリムに任せるのが妥当と考え、部屋の見張りをしていた。

 二人ともピカチュウの事は特に心配していない。
 それが信頼なのか二人が冷徹なのかは判断できない所だが。

 地図を片手にメタナイトがプリムの横まで来る。

「そうだ、ピカチュウはどこだ?」

「その前にトラップの解除だ。それよりも仮面、見張りしてろ」

 プリムはメタナイトの方を見ない。
 ひたすら横に長いキーボードを鳴らし、画面の中の膨大な数のウィンドウと戦っていた。

 と、一つのウィンドウがプリムの前に現れる。
 口の無い顔で薄っすらとプリムは笑う。

 彼の前に現れたのはカメラの映像。大方各所に取り付けられた監視カメラの映像だろう。
 クレイジーの魔法でもかけられているのか、その映像は自分で歩いているように動かせた。
 要は映像が自分視点で見れるのである。

 トラップの解除をするつもりだったが先にこちらが出たのならばピカチュウを探す事にした。
 適当に操作を進めると、例の三ツ又を見つけた。
 ピカチュウが進んだように、彼もまた映像を先に進める。


 しばらく進んだ所で穴を見つけた。
 プリムの勘からするとどうもあの馬鹿はここに落ちるような気がする。
 そしてプリムの目に妙な物が移った。

 穴の奥が瞬いている。

 ちかちかと、薄くフラッシュが見える。
 おもむろにプリムは脇にあったスイッチを押した。
 機械の音量のスイッチだったがウィンドウを消したりする音が耳触りなので消しておいたのだ。
 しかしつけた所で特に音は無い。光も消えてしまった。

「…………」

 考えすぎか、とプリムは再びスイッチを切ろうとした。
 その時、それを遮るかのように大きな音が響く。堅い物で思い切り踏みつけたような音だ。

「なんだ、今の音は?」

 メタナイトがプリムを見る。
 しかしプリムはメタナイトを見ない。

「おい、今のは」

「早くピカチュウの所に行け。なんかやばそうだ」

「……まさか今の音は……」

「早く行け。俺も作業が終わればすぐに行く」

「……解った」

 メタナイトはマントを紫苑の翼へと変化させ、床を舐めるように部屋から飛び出した。
 それを横目で見ていたプリムは再び顔を画面へと向ける。

「死ぬなよ」

 そう呟いてカメラのウィンドウを消した。

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