暇人の暇人による暇人の為のブログ。
小説を書くとか書かないとか。
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と、いう訳で。
心機一転、小説を書いていきましょう。
といっても今年はこれが最後か……?
内容は続きからどうぞ。
心機一転、小説を書いていきましょう。
といっても今年はこれが最後か……?
内容は続きからどうぞ。
もう何時間走ったか解らない。ぐねぐねと曲がった暗い路地をひたすら走っていた。
分厚い雲に覆われた空からはこんこんと雪が降り、火照った頬に触れて溶けていく。口から吐き出される白い吐息は遥か後方に消えていった。
「追え、絶対に逃がすなっ」
「待て、糞鼠っ」
ファルコとフォックスの怒声が響き、続いて赤と青の光線が足元で踊った。
この寒さで手足の感覚は無くなっている。ブラスターが掠めた所でさしたる影響は無い。
問題は後ろの追手だった。距離を離そうにも体力が無いので今の距離を保つのが精一杯であった。
「わっ」
突然視界が横転した。足元のごみ箱に足を引っ掛けてしまった。冷凍庫に放り込まれたかのような冷たさが頬に伝わる。次いで尻尾を乱暴に掴まれた。
「やっと捕まえたぜ……」
ファルコの苛立った声が聞こえた。
確実に今ここで自分は殺されるだろう。ブラスターの銃口がこめかみにあてがわれた。
「おいフォックス。別に今ここで殺してもいいよなぁ」
「……逃走中に死んだとか言っとけばいいだろ」
「クレイジーは単純だからな」
「油断禁物だねっ」
電撃を放ちファルコの手から逃れる。体から放電した電撃は辺りに飛び火し、フォックスにも直撃した。幸運にもビルの看板にも当たり、それが落ちてくる。その衝撃で周りに塵芥が舞い、2人の咽る様子が見てとれた。その隙に一気に路地を駆け出し、表に飛び出た。
表通りは人に溢れ、滅多な事では人攫いなんて事は出来ない筈だ。ほっとした途端、疲れや緊張が汗と一緒にどっと溢れ出た。
渇いた空気を目一杯吸い込んだので喉はからからに渇き、 潤いを求めて唾を飲み込もうにも、逆に咽て疲労が増すだけだった。
「……ふふ」
何故だろうか、店のショーウィンドウに映った自分を見て口端が吊りあがった。
ぼろぼろにくたびれ、やつれた顔。何十も老けたようなそれは自分の顔と思えなかった。
それが今の状況に安堵しているんだと思うと急に空腹感も抑えられなくなった。こんな時に安堵を感じ、更に空腹まで感じているのだから自分の身なりが気になってしまうのも仕方の無い事なのかもしれない。
しかしそろそろ限界かもしれない。かれこれ五日はろくな食事を摂ってない。水は雨水で何とか誤魔化してきた。だが食糧はなかなか手に……。
ピカチュウは古めかしいカフェの前でばたりと倒れた。
「……これまた珍しい客人だな」
カフェから顔を覗かせた無精髭の男はぼそりと呟くと、ピカチュウを抱え店の中へ戻っていった。
「左、お前は一体……」
「ヒャハハハッ。甘ぇなぁ右、そんなのだから俺の行動に気が付かなかったんだよ」
「くっ……みんな逃げるんだっ」
館は火の海だった。逃げようにも逃げられず、僕は戸惑っていた。
「レッド、早く」
レッドの手を引いて僕は火がまだ及ばない所を歩きだす。
でもレッドは動かなかった。
「ねぇ、レッド」
「……ごめん」
僕の手が払われて、火の中からリザードンが現れて。僕の視界が火に包まれて……。
目が覚めたのは夢のせいが5割、良い匂いに釣られたのが4割、鼻を刺激する煙草の匂いが1割だった。
ピカチュウはベッドからほぼ跳ねるかのように起きた後、足の痛みに顔を歪ませまた仰向けに倒れた。
温かそうな食べ物の匂いと臭い煙草の匂いがないまぜになったものが部屋を支配していた。
状況がよく飲み込めなかった。確か自分は道端で倒れた筈だ。
そして扉から出てきた顔を見て、痛みとは別の意味で顔を歪ませた。
「そんな顔をしなくてもいいじゃないか……」
「スネークだって僕が嫌ってる事知ってるでしょ」
「俺はお前が嫌いじゃないがな」
「僕は嫌いなの!」
言った後に後悔した。ただの八つ当たりだ。
「……ごめん……なさい……」
だからすぐに謝ったのだがスネークは返事をせず、ピカチュウの前に食事を置いた。
返事を返さないと言うことは彼の機嫌は別段悪くないと言う事だ。
本当に気分を害したのであれば彼は嫌味を言いたい放題言うだろう。だからピカチュウも特に追求はしなかった。
だがスネークが嫌いなのは本当だ。文字通り蛇のような鋭い眼、四六時中煙草を吸っている事、嫌味ったらしい性格。ピカチュウは好きになれなかった。
柔らかいクロワッサンを最後に頬張り、温めた牛乳で飲み下すとスネークが口を開いた。
「何故ここに?」
「……逃げた結果ここにきた。それだけ」
「この寒い中走ったんだろう。足がぼろぼろだ」
「……手当してくれてありがとう」
「お前、普段どこに居るんだ?」
「6番街のA地区に居たけどフォックス達に見つかって逃げてきた。……家も焼かれた」
「4番街も酷い有様だ」
よく言うよ、と言いかけて言葉を飲み込んだ。確かに街の雰囲気は物々しい。
傷だらけのピカチュウが道端を歩いても誰も気にせず、自分しか目に入ってないようだった。
「……近々4番街は消される」
「なっ……!」
「政府の極秘情報らしいが一部の奴に漏れてた。噂はあっと言う間に広がり、皆逃げようとてんてこ舞いさ」
そこまで腐ったのか、スマッシュブラザーズは。ピカチュウは怒りに拳を震わせた。
2年前にスマッシュブラザーズはクレイジーハンドの裏切りで崩壊、その後彼の手により新たな組織が誕生したが状況は芳しくないようだ。
「俺もここを出る。趣味のカフェが流行ってな。金はあるんだ」
「ふぅん……」
彼の懐状況など興味が無かったので適当に答えておいた。その返答を気にしている様子も無く、スネークは煙草を取り出しふかしていた。煙が顔にかかるので睨みつけたがそれも彼は意に介していないようだった。
「良い事教えておこうか」
煙から逃げる為にベッドに潜り込む。
「ピチューがスマッシュブラザーズに入団した」
「……ふざけてるの?」
思い切り眉間に皺を寄せ、出来る限り声を低くした。迫力が出たかどうか解らないが怒りは伝わったようで、彼は片眉を吊り上げて頷いた。
大真面目に言った、とでも言いたげな顔だが信じられない。そもそもピチューは6番街の外れに居た筈。クレイジーと接点が無い。
「知らなかったのか? クレイジーは近頃新メンバーを募集していてな。ピチューがそれに乗った」
「……え……じゃあピチューは」
「自分から、入った」
金槌で頭を殴られたかのような、それ。あのピチューが、自分から?どう見ても悪に染まったスマッシュブラザーズに自分から入った?
「そんなの」
「本当だ」
「何かの」
「本当だ」
「う」
「嘘じゃない」
心を見透かされているかのように即答された。なんだか自分が凄く見下されてるかのように思えてきた。
スネークが満足そうに目を細め、口から煙を吐いた。まさか自分を騙して上手くいった事に満足しているのではないかと怪しんでしまった。
「……どうする気だ?」
「別に、何も」
「確かめに行きたくないのか?」
「そんなのどうやって……」
するとスネークは立ち上がり、引き出しから1枚のメモを取り出した。
ピカチュウはそれを受け取り、目を通す。メモには仲介人スネークや、情報提供、時間などが書かれていた。ざっと読みながら訝しむ。
「もしかして案内状か何か?」
「ワリオとワルイージが情報屋でひと儲けしている。奴らの情報量は尋常じゃない」
「ワリオ達に訊けって事?」
「今の世の中、何が正しくて正しくないか解らないからな。だがあいつらなら質の良い情報をくれるだろう」
紙に視線を落したまま考え込んでいた。確かにピチューが向こう側にいるなら助け出したい。それを成すには、スネークの言う通りワリオ達に話を訊くのが良いのかもしれない。
だが、それを渋る要素がある。 場所だ。彼らの居場所は9番街のスクラップ置き場、ここから歩いて10日はかかる。
無一文のピカチュウにとって、なんの用意も無しに旅に出るのは自殺行為だ。更に季節は冬、この寒空、寒波が来ればたちまち凍死だ。
ピカチュウがしばし黙考していると、いつの間にか出ていたスネークが部屋に戻ってきた。そして小ぶりのバッグを突き出してきた。
「……何これ」
「20日分程の食糧だ。寝袋もあるし、ボロいが、湯たんぽもある」
「く、くれるの……?」
ピカチュウが目を点にしていると、スネークが薄く笑った。
「ま、どうせお前がのたれ死んで無駄になるだろうがな。はぁ、俺の分削った意味無かったかもなぁ」
スネークはくるりと振り向き、部屋を出て行った。
のたれ死ぬ、とか言われてかなり腹が立ったが、さっきの彼の言動を思い出した。
もしかすると、スネークはピチューの話をふっかけるとピカチュウが行くのを見越していたのかもしれない。しかしピカチュウは何も持っていない。
となれば行くに行けない状況、スネークはそこまで見越し、自分が逃げ出す為の荷物を切り崩し、ピカチュウに授けたのだろうか。あの苦笑いすら出来ない嫌味も彼の照れ隠しかもしれない。
「……ふん」
鼻を鳴らし、未だ雪が降っているであろう外にピカチュウは出た。
出て行く時にシーツをきちんと畳んでおいたのは、自分が綺麗好きだからであって、面と向かって礼を言うのが恥ずかしいから、せめてもの償いと言う訳ではない。
隣の部屋から扉を閉める音が聞こえた。 礼も言わずに出るとは失礼な奴だ、とは思ったが、意地っ張りな彼にとって自分に礼を言うのは苦痛だろうな、とスネークは思った。
マグカップに淹れたコーヒーの薫りを楽しみ、一口飲んだ。口の中に広がる苦い旨みにスネークは満足そうに目を閉じた。
分厚い雲に覆われた空からはこんこんと雪が降り、火照った頬に触れて溶けていく。口から吐き出される白い吐息は遥か後方に消えていった。
「追え、絶対に逃がすなっ」
「待て、糞鼠っ」
ファルコとフォックスの怒声が響き、続いて赤と青の光線が足元で踊った。
この寒さで手足の感覚は無くなっている。ブラスターが掠めた所でさしたる影響は無い。
問題は後ろの追手だった。距離を離そうにも体力が無いので今の距離を保つのが精一杯であった。
「わっ」
突然視界が横転した。足元のごみ箱に足を引っ掛けてしまった。冷凍庫に放り込まれたかのような冷たさが頬に伝わる。次いで尻尾を乱暴に掴まれた。
「やっと捕まえたぜ……」
ファルコの苛立った声が聞こえた。
確実に今ここで自分は殺されるだろう。ブラスターの銃口がこめかみにあてがわれた。
「おいフォックス。別に今ここで殺してもいいよなぁ」
「……逃走中に死んだとか言っとけばいいだろ」
「クレイジーは単純だからな」
「油断禁物だねっ」
電撃を放ちファルコの手から逃れる。体から放電した電撃は辺りに飛び火し、フォックスにも直撃した。幸運にもビルの看板にも当たり、それが落ちてくる。その衝撃で周りに塵芥が舞い、2人の咽る様子が見てとれた。その隙に一気に路地を駆け出し、表に飛び出た。
表通りは人に溢れ、滅多な事では人攫いなんて事は出来ない筈だ。ほっとした途端、疲れや緊張が汗と一緒にどっと溢れ出た。
渇いた空気を目一杯吸い込んだので喉はからからに渇き、 潤いを求めて唾を飲み込もうにも、逆に咽て疲労が増すだけだった。
「……ふふ」
何故だろうか、店のショーウィンドウに映った自分を見て口端が吊りあがった。
ぼろぼろにくたびれ、やつれた顔。何十も老けたようなそれは自分の顔と思えなかった。
それが今の状況に安堵しているんだと思うと急に空腹感も抑えられなくなった。こんな時に安堵を感じ、更に空腹まで感じているのだから自分の身なりが気になってしまうのも仕方の無い事なのかもしれない。
しかしそろそろ限界かもしれない。かれこれ五日はろくな食事を摂ってない。水は雨水で何とか誤魔化してきた。だが食糧はなかなか手に……。
ピカチュウは古めかしいカフェの前でばたりと倒れた。
「……これまた珍しい客人だな」
カフェから顔を覗かせた無精髭の男はぼそりと呟くと、ピカチュウを抱え店の中へ戻っていった。
「左、お前は一体……」
「ヒャハハハッ。甘ぇなぁ右、そんなのだから俺の行動に気が付かなかったんだよ」
「くっ……みんな逃げるんだっ」
館は火の海だった。逃げようにも逃げられず、僕は戸惑っていた。
「レッド、早く」
レッドの手を引いて僕は火がまだ及ばない所を歩きだす。
でもレッドは動かなかった。
「ねぇ、レッド」
「……ごめん」
僕の手が払われて、火の中からリザードンが現れて。僕の視界が火に包まれて……。
目が覚めたのは夢のせいが5割、良い匂いに釣られたのが4割、鼻を刺激する煙草の匂いが1割だった。
ピカチュウはベッドからほぼ跳ねるかのように起きた後、足の痛みに顔を歪ませまた仰向けに倒れた。
温かそうな食べ物の匂いと臭い煙草の匂いがないまぜになったものが部屋を支配していた。
状況がよく飲み込めなかった。確か自分は道端で倒れた筈だ。
そして扉から出てきた顔を見て、痛みとは別の意味で顔を歪ませた。
「そんな顔をしなくてもいいじゃないか……」
「スネークだって僕が嫌ってる事知ってるでしょ」
「俺はお前が嫌いじゃないがな」
「僕は嫌いなの!」
言った後に後悔した。ただの八つ当たりだ。
「……ごめん……なさい……」
だからすぐに謝ったのだがスネークは返事をせず、ピカチュウの前に食事を置いた。
返事を返さないと言うことは彼の機嫌は別段悪くないと言う事だ。
本当に気分を害したのであれば彼は嫌味を言いたい放題言うだろう。だからピカチュウも特に追求はしなかった。
だがスネークが嫌いなのは本当だ。文字通り蛇のような鋭い眼、四六時中煙草を吸っている事、嫌味ったらしい性格。ピカチュウは好きになれなかった。
柔らかいクロワッサンを最後に頬張り、温めた牛乳で飲み下すとスネークが口を開いた。
「何故ここに?」
「……逃げた結果ここにきた。それだけ」
「この寒い中走ったんだろう。足がぼろぼろだ」
「……手当してくれてありがとう」
「お前、普段どこに居るんだ?」
「6番街のA地区に居たけどフォックス達に見つかって逃げてきた。……家も焼かれた」
「4番街も酷い有様だ」
よく言うよ、と言いかけて言葉を飲み込んだ。確かに街の雰囲気は物々しい。
傷だらけのピカチュウが道端を歩いても誰も気にせず、自分しか目に入ってないようだった。
「……近々4番街は消される」
「なっ……!」
「政府の極秘情報らしいが一部の奴に漏れてた。噂はあっと言う間に広がり、皆逃げようとてんてこ舞いさ」
そこまで腐ったのか、スマッシュブラザーズは。ピカチュウは怒りに拳を震わせた。
2年前にスマッシュブラザーズはクレイジーハンドの裏切りで崩壊、その後彼の手により新たな組織が誕生したが状況は芳しくないようだ。
「俺もここを出る。趣味のカフェが流行ってな。金はあるんだ」
「ふぅん……」
彼の懐状況など興味が無かったので適当に答えておいた。その返答を気にしている様子も無く、スネークは煙草を取り出しふかしていた。煙が顔にかかるので睨みつけたがそれも彼は意に介していないようだった。
「良い事教えておこうか」
煙から逃げる為にベッドに潜り込む。
「ピチューがスマッシュブラザーズに入団した」
「……ふざけてるの?」
思い切り眉間に皺を寄せ、出来る限り声を低くした。迫力が出たかどうか解らないが怒りは伝わったようで、彼は片眉を吊り上げて頷いた。
大真面目に言った、とでも言いたげな顔だが信じられない。そもそもピチューは6番街の外れに居た筈。クレイジーと接点が無い。
「知らなかったのか? クレイジーは近頃新メンバーを募集していてな。ピチューがそれに乗った」
「……え……じゃあピチューは」
「自分から、入った」
金槌で頭を殴られたかのような、それ。あのピチューが、自分から?どう見ても悪に染まったスマッシュブラザーズに自分から入った?
「そんなの」
「本当だ」
「何かの」
「本当だ」
「う」
「嘘じゃない」
心を見透かされているかのように即答された。なんだか自分が凄く見下されてるかのように思えてきた。
スネークが満足そうに目を細め、口から煙を吐いた。まさか自分を騙して上手くいった事に満足しているのではないかと怪しんでしまった。
「……どうする気だ?」
「別に、何も」
「確かめに行きたくないのか?」
「そんなのどうやって……」
するとスネークは立ち上がり、引き出しから1枚のメモを取り出した。
ピカチュウはそれを受け取り、目を通す。メモには仲介人スネークや、情報提供、時間などが書かれていた。ざっと読みながら訝しむ。
「もしかして案内状か何か?」
「ワリオとワルイージが情報屋でひと儲けしている。奴らの情報量は尋常じゃない」
「ワリオ達に訊けって事?」
「今の世の中、何が正しくて正しくないか解らないからな。だがあいつらなら質の良い情報をくれるだろう」
紙に視線を落したまま考え込んでいた。確かにピチューが向こう側にいるなら助け出したい。それを成すには、スネークの言う通りワリオ達に話を訊くのが良いのかもしれない。
だが、それを渋る要素がある。 場所だ。彼らの居場所は9番街のスクラップ置き場、ここから歩いて10日はかかる。
無一文のピカチュウにとって、なんの用意も無しに旅に出るのは自殺行為だ。更に季節は冬、この寒空、寒波が来ればたちまち凍死だ。
ピカチュウがしばし黙考していると、いつの間にか出ていたスネークが部屋に戻ってきた。そして小ぶりのバッグを突き出してきた。
「……何これ」
「20日分程の食糧だ。寝袋もあるし、ボロいが、湯たんぽもある」
「く、くれるの……?」
ピカチュウが目を点にしていると、スネークが薄く笑った。
「ま、どうせお前がのたれ死んで無駄になるだろうがな。はぁ、俺の分削った意味無かったかもなぁ」
スネークはくるりと振り向き、部屋を出て行った。
のたれ死ぬ、とか言われてかなり腹が立ったが、さっきの彼の言動を思い出した。
もしかすると、スネークはピチューの話をふっかけるとピカチュウが行くのを見越していたのかもしれない。しかしピカチュウは何も持っていない。
となれば行くに行けない状況、スネークはそこまで見越し、自分が逃げ出す為の荷物を切り崩し、ピカチュウに授けたのだろうか。あの苦笑いすら出来ない嫌味も彼の照れ隠しかもしれない。
「……ふん」
鼻を鳴らし、未だ雪が降っているであろう外にピカチュウは出た。
出て行く時にシーツをきちんと畳んでおいたのは、自分が綺麗好きだからであって、面と向かって礼を言うのが恥ずかしいから、せめてもの償いと言う訳ではない。
隣の部屋から扉を閉める音が聞こえた。 礼も言わずに出るとは失礼な奴だ、とは思ったが、意地っ張りな彼にとって自分に礼を言うのは苦痛だろうな、とスネークは思った。
マグカップに淹れたコーヒーの薫りを楽しみ、一口飲んだ。口の中に広がる苦い旨みにスネークは満足そうに目を閉じた。
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