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暇人の暇人による暇人の為のブログ。 小説を書くとか書かないとか。
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お待たせしましたぁ。
小説第3話です。

今回はロボットの登場となります。
そして謎の本。これが物語では重要になります。
あまり言うとあれですが。
更にスネークの立ち位置が少しはっきりしました。でも雲行きが…?

大きな渦に振り回されるピカチュウ達を表現していきたいです。

ちなみにタイトルの意味は「拒絶反応」
もっと抽象的な表現を探していきたいです。



「へっくしょん!」

 自分のくしゃみで目が覚めた。布団からむき出しにしていた顔は筋肉が強ばっているようで、あまり動かない。

 ピカチュウとリュカは4番街のボロい宿屋に泊まっていた。1人宿泊費が10コイン。
普通の宿屋なら軽く500コイン、高級な場所なら千の桁は行く。
この安さに惹かれ、ピカチュウ達は入ったのだが、中はそれ相応に酷かった。

 床は歩けば軋み、下手をすれば抜け落ちる。
壁の漆喰はとうの昔に剥げてしまい、白蟻に喰われた木製の壁が顔を出していた。

 部屋の扉は開けると外れてしまった。電球は付けると割れ、ベッドの布団には蚤やら何やらが蠢いていた。
空気を入れ換えようと窓を開けようとすれば、固く、開かない。
そのくせ隙間は絶賛解放中で寒さは外と変わらないかもしれない。

 唯一の救いは暖炉が使える事だった。
薪は自由に取って良いとの事だったので、うんと取っておいた。

 因みに飯は出ないので適当にリュックの中から食べておいた。

 一番の問題だったのは布団だった。
布団に潜ればそれなりに風は防げるであろう。だが肝心の布団は酷い有り様だ。

 虫が嫌いな人が見れば卒倒するであろう程の害虫の数。こちらだって見ているだけで体が痒くなる。

 なのでピカチュウは昼の間に手入れをしておいた。
布団、シーツ等を外で叩き、暖炉の煙で炙っておいた。これで大方の虫は払えた。

 そして明朝。

 ピカチュウは暖炉に薪をくべ、リュカの起床を待った。

 寝ているとそうでもないが、朝方はかなりの寒さで毛布を被っていても身震いする程だ。

 ピカチュウが起きた30分程後に、ようやくリュカは起きた。

「やっぱり寒いね……」

「暖炉が無かったらもっと酷かったと思うよ……」

 リュカがパンを食べ終え、一息ついた所でピカチュウはある話を持ちかけた。

「ねぇリュカ」

「ん?」

「……4番街が消えるって話……知ってる?」

 リュカの顔はぴくりとも動かない。もしかして知らなかったのだろうか。

「……知ってるよ。随分な噂になってる」

 やはりリュカの耳にも届いていた。
と、言うよりもはや4番街で知らない人は居ないかも知れない。

「これ、アルバイトで聞いたんだけど、政府の人達、かなり手荒い手段を取るらしいよ」

「手荒い……?」

「うん……詳しい事は解らないけど……」

 手荒い、となると流血騒ぎなんて生温いかも知れない。人死には当たり前になってくるだろう。

「とにかく。早めにここを発つのが良いね」

「うん。でも闇雲に9番街を目指しても上手くいかないと思う」

「そうだね……。地図も無いし、寒波が来るかも」

「ここらの寒波はかなり厳しいらしいよ。いつ来るか解っていた方が良いと思う」

「よし、じゃあ今日は情報収集にしよ。明日に出発しても変わらないよ」

「そうだと……良いね」

 リュカが言葉を濁す。リュカの勘は同じPSIを使うネスのそれを遥かに越えている。

 出来れば何か言って欲しかったが所詮は勘。
言わないと言うのであればそこまで酷く悪い勘でも無いだろうと、ピカチュウは半ば無理矢理に内の雲を取り払った。

 今まで冷たい雪を降らしていた雲は過ぎ去り、久々に太陽が顔を出していた。

 だが、積もった雪と木枯らしがその陽射しを台無しにしていた。
こんな時に人が履いたり着たりする服や靴が恋しくなる。

 とりあえず、ピカチュウは地図と天気の情報を集める事になった。リュカの方は9番街の事や道程を調べてくると言う。

 しばらく街と言う所に住んでいるとそれなりに住み方、所謂コツが解ってくる。

 スマッシュブラザーズから離れ、街に住み始めた当初は右も左も解らず、酷い目にも合った物だった。

 まず悪徳な輩が蔓延っていた。
勧められた家を借りれば法外な貸し賃を請求され、難しい用語が並べられた紙に判を押せば怪しげな商会に入会させられていた。

 スネークが言った通り、今の世の中は何を信用すれば良いか解らなくなる。

 重症の者は人間不信になり、まともな生活を送るのさえ、困難になる。

 だが、どんな物にも攻略法と言うのが存在する。

 ピカチュウは薄暗い裏路地に入っていった。
脇には陰気な貧乏商人が青いシートを引き、商売をしていた。
恐らく、彼らの大半は見たままの商いはしていないだろう。何か裏の伝があるに違いない。

 伏せがちな眼から浴びせられる視線を無視し、ピカチュウは更に奥へと進んでいった。

 4、5分歩いた所で目的の場所に到着した。

 ぱっと見ると何も無い道だった。だがここにはある秘密がある。

 ピカチュウは辺りをさらっと見渡し、人が居ない事を確認し、かがみこんだ。

 足元には少し大きめのマンホールがあった。その小さな取っ手に手をかけ、力一杯引き上げる。

 重々しく鈍い音が響き、マンホールの下が見えるようになった。
中には下水道等は無く、階段があった。

 後ろ手でマンホールの蓋を閉め、ピカチュウは明かりの無い階段を下りていった。

 既に何回か見た事のある階段だったので調子に乗ったピカチュウは、
電気を出さずに下りていった。案の定つまずき、ごろごろと階段を転がり落ちてしまう。

「いっつ……!」

 身体のあちらこちらが痛かった。無理をせず、慎重に下りれば良かったと今更ながらに後悔する。

 一番強く痛む後頭部をさすっていると、奥から笑い声が響いてきた。間違いなく、馬鹿にした笑いだった。

「ふっくくくく……。最近稀に見る馬鹿映像だったよ」

「……君に笑われると余計腹立つなぁ」

「無機物、だからかい?」

「けなした訳じゃないよ?」

 現れたのは緑色のローブに身を包んだピカチュウのよく知る人物だった。

「ともかく。久しぶり、ロボット」

「しまらないな。ここじゃエインシャント卿と呼んでもらいたい」

「良いでしょ? 誰も居ないし……あれ?」

 ようやく暗闇に慣れた目に飛び込んだのは多数の人影。意外にも人は多かった。

「結構居たね」

「君の間抜けな劇もばっちり見ていたよ」

「げっ」

 中は明るい笑い声に満ちた。

 元スマッシュブラザーズメンバーロボットがエインシャント卿として運営している反政府組織「ROB」は全国の地下に展開されている。
組織はロボットを始め、各地の反政府の志を持った有志達によって構成され、資金等も1人1人の募金によって成立していた。

 ここには100パーセント安心と言って良い程の質の高い情報がある。
ピカチュウも初めてここに来た時に物件を紹介してもらった事がある。
実際、ピチューがどうなったのかもここで訊けば良いと思っていた。

「ピチュー? 知らないね」

「え……な、なんでっ」

「ピカチュウ、スマッシュブラザーズの話題自体が極秘状態なんだ。
 世間にはまだマスターハンドが指揮を取ってると思い込んでる奴が居る。
 更にここは口コミの情報を人の手で確かにしていってるんだ。量より質って言うのが私のポリシーだよ」

「何も知らないの……?」

「残念だけどピチューがスマッシュブラザーズに入団したって言う噂しか知らないよ」

 ピカチュウは大きく肩を落とした。やはりワリオの所まで行くしかないようだった。

「……じゃあさ、9番街までの道程の、雪が降るとかそんな事、解らない?」

「9番街までの降雪? ……はて、なんでそんな事を君が?」

「ワリオに会いに行くんだ」

「ワリオ? あのワリオかい?」

 凄い勢いで問い詰められた。その勢いにピカチュウが引き気味に下がる。

 エインシャント卿ははっとして辺りを見渡すとピカチュウを奥へと連れていった。

「ど、どうしたの……?」

「ワリオに会いに行く。と言う事は情報を求めると言う事だね」

「まぁ、そんなとこ」

 返しながらピカチュウは部屋をぐるりと見渡した。
天井近くまである大きな本棚にびっしりと分厚い本が並べられてある。エインシャント卿の書斎なのだろうか。

「聞いてるかい? ピカチュウ」

「えっ? あっ、ごめん」

「君、お金はあるのかい」

「うん、あるよ」

「……お小遣い程度じゃなくてさ。まとまったお金だよ」

「……いくらぐらい」

「……まぁ、500は最低いるか」

「それって500コイン?」

「君は馬鹿か。500万だ」

「ぶっ」

 思わず吹いた。500万コイン等と言う大金が自分達のどこにあると言うのだ。

「ワリオは情報を渡す際、金銭面の事には一切触れない。
 渡した後にポンと高額な情報量を請求するのさ。そのせいで身を滅ぼした奴が沢山居るんだよ」

 それは詐欺のような物だ。

 まさかスネークは知らずに紹介した訳ではあるまい。ピカチュウが被害を被るように仕組んだのだろうか。

 そこでリュックに入っているある物を思い出す。

「あっ、そうだ。これ」

「ん?」

 リュックから取り出した紙切れをエインシャント卿に手渡す。

「これは……紹介状だね」

「スネークにもらったんだけど」

「スネークがこの街に?」

 彼が目を丸くして尋ねてくる。

「え? うん、カフェしてて気取ってたよ。知らなかったの?」

「あぁ……うん。知らなかったよ。いや、それよりこの紙があれば無償でワリオから情報を聞き出せるぞ」

「ほんとに?」

 思わず興奮した口調になる。

「あ、それで雪は……」

「あぁそうだったな……。待ってて。今から訊いてくる」

 エインシャント卿はピカチュウに紙を返し、部屋を出ていった。

 リュックに丁寧に紙を入れ、もう一度部屋を見渡す。

 やはり圧巻なのはその本の数。ざっと見ても総数がいくつになるのか見当がつかなかった。

「…………」

 その数ある辞書のように太い本の中に、孤立している本があった。

 棚の高さはピカチュウの背丈の少し上。背伸びでぎりぎり届かない。

 乱暴ではあるがピカチュウは飛び上がり、その本を手に取る事にした。

 飛び乗った衝撃で埃が舞い散る。多分ちょっとでも高い所にある本は手入れをしていないのだろう。

 埃に難儀しながらも、ピカチュウは目当ての本を手にした。

「パンドラの……予言書?」

 本の表紙にはピカチュウのよく知るアンノーン文字でそう書かれていた。

 円を描くように描かれたアンノーン文字の中心に宝箱のような物がある。
四隅を錆びた金色の装飾が飾り、宝箱を切るように大きな十字架の絵が入れてある。

 褪せた紫色の予言書にピカチュウは目を奪われた。

 そして、これを開けて良い物なのか躊躇する。
これを開けばパンドラの名の通り、取り返しのつかない何かが起こるのではないだろうか。
だが、ピカチュウの好奇心はその戸惑いを上回る。

 最初のページを、ゆっくりと、大胆に開いた。

「……なぁんて……そんな展開無いよなぁ」

 やはり開いても本は本。恐ろしい魔物が飛び出しもしなければ、凄まじい大災厄が起こると言う訳でもなく。

 ピカチュウはそんな解りきっている事にほっとしている自分に苦笑いした。

 本に目を通せば、恐ろしい程凄まじい量の文字が書き連ねられていた。左上から右下まで、横書きでびっしり文字が書かれている。

 よくもまぁここまで書いたものだと感心してしまった。

 適当にページをぱらぱらと捲ってみるが全部一緒の内容だった。挿し絵も無かった。

 そして最後のページに到達し、ピカチュウが固まる。

 いや、本からしてみれば途中のページだった。そこから先は、明らかに誰かがページを破り捨てていた。

 ピカチュウは表紙に気を取られ気付かなかったが、裏表紙までもが綺麗に破られていた。

「なんだよこれ……」

 その破られようも尋常では無かった。

 まるで怒りに身を任せ狂ったようにページは引きちぎられていた。

 異様。あまりにも異様だった。

 一体何がここまでさせたのだろうか。再びピカチュウの心に野蛮な好奇心が生まれる。

 心臓の高鳴りが抑えられない。じっくりと表紙を眺める。無機質なアンノーンの眼がピカチュウの眼を捉える。

 幼い子供が言いつけられた約束事を破る時に似た感覚。触れてはいけない禁忌に触れる、恐怖と興味。

「…………」

 遂に、その扉を開く。

「何をやっているんだいッ!」

 心臓が口から飛び出すかと思った。それ程びっくりした。

 体にバネがついた、と言ってもバカにされないだろう。ピカチュウは跳びはね棚から落ちた。痛む頭をまた打ち付ける。

 反転した視界に映ったのはエインシャント卿。

 生き物程感情を表さない彼だが回りから醸し出すオーラは怒気を含んでいた。正直言って怖い。

「何をやっているんだい?」

 もう一度、静かに彼はそう訊いた。

 言い逃れは出来ない。どんな巧妙な嘘を吐いても逃げる事は叶わないだろう。腹をくくる。

「ちょっと読書をさ」

「随分ワイルドな読み方だったね。流石、鼠だ」

 嫌味か、皮肉か、悪口か。 エインシャント卿の深い溜め息が、やけに耳にこびりつく。

「……まぁ、あんまりいじくらないでおくれ」

 言いながらエインシャント卿はバーナーでホバリングし、丁寧に本を戻した。

「ねぇ、凄く気になるんだけど、その本何なの?」

「教えない」

 拒絶。はっきりとそれを感じた。

 分厚い壁が、エインシャント卿と自分の間にそびえ立った気がした。

「で、雪だったか」

 壁の小さな穴から覗かれている気分。

 エインシャント卿は異常なまでに自分を拒絶していた。

「寒波はしばらく来ない。9番街に行くなら寒波の心配は要らないだろう」
「ありがとう……」

 貰った情報を頭に刻みながら、自分の気持ちがしょぼくれていくのを感じる。

 数少ない友人が消えてしまった。そんな感じがしたからだ。はっきり言ってこんな状況で信頼できる人がいなくなるのは非常にまずい。

 ――でも。

 でも、たかだか謎めいた本を読もうとしただけで、内容を訊こうとしただけで、なんでここまで拒絶されなければいけない?
第一読まれたくないなら最初から忠告しておけばいいじゃないか。

 そんな屁理屈をピカチュウがこねていた時だ。

 エインシャント卿がふっと気を緩ませた。許してくれたのか。

「君には失望したよ」

「へ……」

「荷物をまとめてさっさと出て行きな」

 吐き捨てるように言うと、踵を返して消えていってしまった。

 数秒遅れて事実が頭に馴染んでくる。

 まさか顔に出ていたのか? 今の考えが。

「ちょ、ロボッ……」

 ピッと赤い光線が足元で跳ねる。瞬間的に飛び跳ねる。

 暗闇からまたエインシャント卿が現れる。今のは彼が目からビームを放ったのだ。

「何するんだよ……」

「ロボットと言うのはやめてもらおうか。不愉快だ」

 機械の君に何が解る?
という言葉を飲み込むピカチュウ。これ以上彼を怒らせても何の得も無い。

「……出ればいいんだろ? さっさと行くよ」

「……そうだ」

 監視されるように、エインシャント卿に後ろを付かれピカチュウは出口の階段まできた。

 そこで思い出す。地図をまだ貰っていない。多分、言えばくれるだろう。先ほどなら。

 今、とても口を訊いてくれそうにない。
 仕方ない。スネークに頼んでみよう。癪ではあるがもしかしたら地図があるかもしれない。
 エインシャント卿の痛い視線を背中に受け、ピカチュウは外へと出た。


「で、何の用だ?」

 差し出されたのは湯気を立てるコーヒー。ブラックだった。

「情報を垂れ流したのはテメェか?」

 コーヒーから目を離し、スネークを睨み付けた。彼はどこ吹く風と言った様子で煙草をふかす。

「裏切りは重罪だぜ。その事を頭に叩き込んでやろうか」

 生憎、コーヒーにはミルクと砂糖が必須のファルコは、肩を揺らすスネークにブラスターを突き付けた。

「オイオイ、冗談はよしてくれよ。そんな物ぶちかまされたら教えてもらっても死んじまってるよ。
 それに、許可もなく仲間を殺すのはアウトの筈だが」

 くつくつと馬鹿にしたように笑うスネーク。その態度がファルコの怒りに拍車をかける。

「あぁそうか。鳥頭じゃ覚えてる訳」

 乾いた銃声が響き、コーヒーの中身が飛沫する。床にカップの破片とコーヒーが飛び散った。

 その様はファルコの心中を的確に表していた。憤怒が臨界点を越えて爆発していた。

「決まりだ。殺す」

「ふぅむ。お前は人の話を聞く事を覚えた方が良いな。覚えられたらだが」

 煙草を床に吐き捨て、過激な喧嘩の火蓋が切って落とされた。

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